SDGs 「マイクロプラスチックについて ~ 目標No.14 "海の豊かさを守ろう"」
本当に暑いですね。近年レジャーの多様性にともない、
海水浴に出かける方は減ってきたとの話も耳にしますが、
夏はやっぱり、です!
今回は「マイクロプラスチック」についてお話します。
私の父は釣りが趣味です。その父が魚をおびき寄せる撒き餌に混ぜる砂を、
伊勢湾に面した砂浜に取りに行くのですが、そのままの砂では粒子が揃っておらず使えないため、
砂をふるう作業が必要です。ある日、私はそのふるい作業を見ていました。
何度かふるい作業が行われた後、砂の無くなった後のふるいの目の上に残っていたのは、
小石や木の破片ではなく、なんと細かくなったプラスチックだったのです。
「いつもこのくらいはあるね。」と父は気にしていませんでしたが、私にとっては衝撃でした。
"これがマイクロプラスチック?" これが私とマイクロプラスチックの「出会い」でした。
マイクロプラスチックとは、大きさが5mm以下の小さなプラスチックごみのことを言います。
例えば、海を漂うプラスチックごみが漂っている間に波や紫外線の影響で細かくなったものや、
化粧品や歯磨き粉に研磨剤として含まれるごく小さなプラスチックの粒などが、
マイクロプラスチックと呼ばれます。
問題は、これらが極めて小さいプラスチックの破片や粒であるため、
海の生き物が海水と一緒に飲み込んでしまったり、エサと間違えて食べてしまう場合があります。
プラスチックは消化できないため、体内に残り続けます。
また食物連鎖を考えると、こうした生き物をエサにしている海鳥や大型の魚などにも、
マイクロプラスチックがたまっていくことになります。
これが消化器官にたまっていくと、消化器官を傷つけたり、
栄養を吸収する働きが弱くなってしまう恐れがあります。
マイクロプラスチックは人間にとっても他人事ではありません。
皆さんは海の魚を食べると思います。
その時にマイクロプラスチックを取り込んでいないと言えるでしょうか。
ここで視野を広げてマイクロプラスチックを含むプラスチックごみについてお話したいと思います。
●1950年以降に生産されたプラスチック類は83億トンを超えると言われており、
そのうち63億トンがごみとして廃棄されたとする報告もあります。
●毎年800万トンのプラスチックごみが海に流出しているとの試算もあります。
●国際機関の世界経済フォーラムは2016年の報告書で
2050年までに海に存在するプラスチックの量が魚の量を超えるとの予測を発表しています。
このように世界的な問題となっているプラスチックの問題を解決するための取り組みはすでに始まっており、
日本の研究機関では1mm以下のマイクロプラスチックが海面から海底まで、海洋中にどのように分布しているかを調査しています。
水産関連研究機関が過去70年間にわたって日本近海でサンプリングしたプランクトンサンプルがあることから、これを活用できれば、
現在だけでなく、時代と共にどのように変化していったのかわかるかもしれないと言われています。
今後は火山灰やほこり、黄砂など自然界に存在する他の粒子とどう違うのか、
プラスチックの本質を明らかすることで、対策の在り方を決めていくようです
プラスチックごみは一旦海に出ると回収することが難しいため、
海の豊かさを守っていくには、その使用や排出をいかに減らすことができるかが大切になってきます。
それは私たち自身を大切にすることにもなるのではないでしょうか。
参考:環境省ホームページ
:東大×SDGs 先端知からみえてくる世界のカタチ (山川出版 2021)
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