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明日ゲンキになるマメ知識明日、ゲンキになるためのマメ知識

アスゲンのお薬に使用されている成分の原料や
それぞれの効能などをわかりやすくご紹介しているページです。
健康に関する最新情報もあわせて随時更新してまいりますので、
毎日の豊かな暮らしづくりにぜひご参考ください。

薬物濫用のお話

 

今年の夏、私の家の近くに写真のような凶悪(?)な自販機が設置されていることに気付き、思わず写真に撮ってしまいました。よく見ると全商品、いわゆる「エナジードリンク」でした。「疲れてるけど、ちょっと気合をいれて頑張るぞ!」と飲む方が多いかと思います。成分としては、カフェインの他、ビタミンなどが配合されており、カフェインが「頑張るぞ」を引き出しているのだろうな、と思いながらもこんなことも考えました。"こんなに種類があるのか? しかも子供から大人まで誰でも自由に買えるな・・・、確か何年か前に飲み過ぎで若者の死亡事故が起きていなかったっけ? これ規制しなくて本当に大丈夫なのか?"ちなみにカフェインの1日当たりの最大摂取量は成人で400mgとされています。エナジードリンク1本にはおよそ100mgのカフェインが含まれているので、3~4本が上限でしょう。

さて、ここ1年くらい、薬物濫用のニュースを聞く機会が多くなりました。これは新型コロナウィルス(以下、COVID-19)の流行とも重なります。COVID-19の世界的感染拡大に伴う外出自粛生活により、人に会えない孤独感、隔離による閉塞感、感染者に対する疎外感が積み重なり、心に変調を感じる方が増え、さらに流行以前から続く急激な社会構造や世界情勢の変化とも重なり、生きにくいと感じる今、一時的にでも現実を忘れる方法として薬物による作用に期待しているのかもしれません。先ほどのエナジードリンクの飲みすぎによる死亡事故も、摂取後の高揚感で何とか辛い現実を乗り切ろうとするも、辛い現実が多過ぎて、それらを乗り越えようと飲んでいるうちに濫用になってしまったのでしょうか。

私はお客様対応を担当しております。そこで感じたのはCOVID-19流行がはじまって以前より対応件数は減ったものの、1件当たりの対応時間が長くなり、時には1時間以上、ひとりのお客様に対応したことが多々ありました。これ想像ですが、人は隔離環境におかれたとき「人と話したい」、「自分のことをわかってほしい」との思いが強くなり、それが現れた結果ではなかったかと思っております。似たようなことが、小売業の現場でもおこっていたのではないかと想像します。

このように電話で発散できる方は良いのですが、自分を表現する場所が見つからない場合、どうしたら良いのでしょうか。どこかで外に出さないといけないと思うのですが、解決策の一つとして何かに集中して一時的に自分の存在を無くすことで、自分の中にあったものを消す、忘れるという方法があるでしょう。それがスポーツであったり、ゲームであったり、飲酒だったりするのでしょう。冒頭の薬物濫用が懸念される成分はいくつかありますが、代表的な成分をアルコールやたばこ(ニコチン)も含めて表にまとめてみました。

一般薬を用いた「濫用」は服用者の期待する「気分の高揚感(トリップ感)」は得られず、頭痛や吐き気や意識消失が生じるだけに過ぎません。

ネット上にある「体験談」は個人差が大きすぎ、統計的に評価が可能な十分な症例を伴う臨床研究に基づいて決められたものではないため、それを信じて自分の得たい「トリップ感」を求めようとしても無理でしょう。いや、危険が大きすぎます。

現実として濫用による過量服用が高じて救急搬送された際に施行される救命治療は、想像以上に苦痛を伴ううえ(胃洗浄、血液透析など)、そこからの回復には時間がかかり、加えて過剰な薬物を代謝する肝臓や腎臓に多大な負担をかけることにより、後遺症が残る可能性が高いことを考えると、薬物濫用によって得られる「トリップ感」の代償としては大きすぎるのではないでしょうか。

例え救急搬送されなかったとしても、薬物濫用が長年にわたった場合、各臓器に慢性的なダメージを与え続けることになります。

では、私たちはこの生きにくい世界でどう生きていけば良いのでしょうか。

いっそのこと、好きな食べ物のやけ食いの方が心の安定に良いような気がします。

しかし、やけになってはいけないので、まじめに考えてみます(やはり食べ過ぎは良くありません)。

マラソンなどの運動中、苦しい状態が一定時間以上続くと、脳内でそのストレスを軽減するためにホルモンの一種であるβ-エンドルフィンが分泌され、やがて快感や陶酔感を覚える「ランナーズ・ハイ」と呼ばれる現象がよく知られています(近年ではカンナビノイドも注目されています)。これを利用したうつ病治療の1つとして運動療法があり、日本うつ病学会のガイドラインでは確立した治療法ではないとされていますが、治療の選択肢として紹介されています。ちなみに好きなものを好きなだけ食べることでも、β-エンドルフィン分泌されることが分かっています。

したがって、生きにくい世の中を生きていくためには、ランナーズハイを得るために走って、その後、おいしいもの食べることが、薬物に頼らない幸せな人生を送るためのひとつの方法かもしれません。

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