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明日ゲンキになるマメ知識明日、ゲンキになるためのマメ知識

アスゲンのお薬に使用されている成分の原料や
それぞれの効能などをわかりやすくご紹介しているページです。
健康に関する最新情報もあわせて随時更新してまいりますので、
毎日の豊かな暮らしづくりにぜひご参考ください。

SDGs「OTC濫用の本当の怖さ」
SDGs 目標 No.3:すべての人に健康と福祉を

 あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。

いま日本では医薬品(医療用と一般用)の過剰摂取(オーバードーズ Over dose)が多発しており、それは小学生にも広がりを見せ、大きな社会問題となっています。

これは日本だけでなく、世界的な問題となっています。なぜ薬物の濫用が問題なのか? 

それは人がそれに依存して正常な判断ができない状態になるため社会生活を送ることができなくなり、個人が壊れ、家族が壊れ、地域が壊れ、社会が壊れ、国が崩壊するからです。

現在、オーバードーズを含めた薬物濫用問題について世界はどのように捉えているのでしょうか。

 国際連合広報センターのホームページには世界の薬物濫用状況に関する概要が紹介されています。

●成人人口のおよそ5パーセント、もしくは15歳から64歳までの2億5000万人が少なくとも年に1回は不正薬物を使用し、このカテゴリーで薬物依存者と分類される人の数は2900万人を超える。

●さらに、およそ1200万人が薬物を注射し、これらの人々の14パーセントがHIVに感染している。

●薬物の乱用は賃金の損失、保健費の高騰、家庭の崩壊、地域社会の悪化をもたらす。とくに注射器による薬物の使用は、世界の多くの地でHIV/エイズ゙や肝炎の急激な蔓延の原因となっている。

●薬物と犯罪、暴力の増加とは直接結びついている。薬物のカルテルは政府の機能を損ね、合法的なビジネスを腐敗させる。

●不正薬物から得た収益はもっとも悲惨な紛争を継続させるための資金となっている。

●財政的な代価も驚くほどの額である。警察や司法制度、治療・社会復帰計画を強化するためには莫大な費用がかかる。社会費用も同じく高い。路上暴力、ギャングの戦い、恐怖、都市の衰退、こうしたことはどれ一つとってもその対策に莫大な費用がかかる。

また、 SDGs目標No.3のターゲット3.5にはこうあります。

「薬物乱用(原文ママ)やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用(原文ママ)の防止・治療を強化する。」

 最後に日本の厚生労働省はどうでしょうか。本省では1990年代から専門家による薬物濫用に関する調査を行っている他、2023年2月より12月まで11回開催された「医薬品の販売制度に関する検討会」において若者に拡がる薬物濫用の原因とされる一般用医薬品の販売制度等に検討が重ねられ、その内容は薬機法へ反映される予定と聞いております。

 では、製薬企業として何ができるのかと考えた時、薬物の過量摂取によってどうなるのか? どんな治療が行われるのか? もし回復しても後遺症などはないのか? などについて情報提供することが大事ではないかと思いつきました。今回は「コデインリン酸塩」、「カフェイン」、「アセトアミノフェン」において、医療用医薬品の添付文書からご紹介したいと思います。さて濫用者の求めるものが、この表の各成分における「過量投与時の症状」欄の中にあるでしょうか・・・? 私には見つけることができませんでした。

 さて、添付文書の情報は「処置」までであり「処置が終わった後どうなるのか」は書かれていません。

各成分は適量であれば、その作用は人体にの痛みや辛さをやわらげてくれます。そしてその間に身体は回復に向かい、健康を取り戻すことができます。

 ところが一度に過剰服用した場合はどうなるでしょうか? 過剰な薬は毒であり、人の身体は生き残るために肝臓と腎臓をフル活動させ、それを体外に排出しようとします。しかしその間、臓器は毒にさらされ続けます。毒が身体の外に排出されたとしても、毒によってダメージを受けた臓器は濫用前の健康な臓器には戻りません。つまり日常生活における代謝作業も負担に感じる脆弱な臓器に変わっているのです。言い換えれば、臓器の老化が一気に進んでしまい、肝疾患、腎疾患に移行しやすくなるかもしれません。もしかしたら人生のかなり早い時期から治療薬の服用や透析開始、食事を含めた日常生活の制限を受けることになるかもしれません。他の臓器は大丈夫でしょうか。つまり脳や心臓は?当然影響を受けるでしょう。薬物の成分が体内の1か所留まっているはずがありません。なんといっても各臓器は血液やホルモンなどを通して互いに連絡を取り合っているからです。

 もし、いま薬物濫用をしようと思っている人がいたら「死ぬまで体調不良が続く人生でいいのか?」をよく考えてほしいと思います。それを考えたら、とても薬物濫用をしようとは考えないはずです。健康の価値は値段が付けられないものです(2023年04月記事もご覧ください)。

 薬物濫用に対して法整備が進むなか、濫用の原因は薬の取扱いを規制することではなく、濫用している人、特に若者へのケアを重視し、若者に対する社会的受け皿を同時に整備していく必要があることも認識されています。ネット社会の進化による便利さと同時に、人とのつながりは減り、他人には関わらないことが是とされる世の中において、彼らが必要としていることを模索しながら彼らの話を聴くことは、社会の最重要課題の一つと考えます。それが薬物濫用のない社会の実現への第一歩だと考えます。

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