
芍薬の原植物はボタン科ボタン属の植物で,シベリア東南部から中国北部にかけて分布しており,シャクヤクPaeonia lactifloraの根を乾燥させたものを原料とする.日本では切り花や園芸用として各地で栽培されており,花を切り花用として出荷した後,根を掘り上げ薬用として出荷している.一部では薬用を目的とした専用の栽培も昔からされており,大和地方に産する大和芍薬が良品とされている.昭和40年代までは国産品が流通していたが,それ以降中国産が出回るようになり,昭和50年代には中国産が国内産を上回るようになった.生薬の種類として,外皮を去った白芍と外皮をつけたままの赤芍があるが,日本薬局方に該当する芍薬は白芍である.ちなみに,同じボタン科でシャクヤクによく似た植物でボタンがあるが,ボタンは木本植物であり,シャクヤクは草本植物である