
昔からショウガは香味野菜として重要な位置を占めていた.『和名類聚抄』には「生薑」を「くれのはじかみ」または「あなはじかみ」,「乾薑」を「ほしはじかみ」と記されている.因みに山椒も「はじかみ」と称するが,ショウガと区別するため「なりはじかみ」とよばれる.摺り下ろしたり刻んだものを薬味としたり,梅酢につけて紅ショウガにして利用され,寿司屋ではガリとよばれる.甘酢に漬けた酢どりショウガは焼き魚の口なおしとして添えられるが,この紅色は葉の基部にあるアントシアン系の色素が酢によって発色するためである.冷や奴や焼き茄子にはショウガが薬味として添えられる.これは豆腐や茄子には身体を冷やす作用があるため,ショウガを加えることで身体を冷えから守ろうという漢方の考えが活かされている