
桂皮以外にスパイスとして使われるものにスリランカに産するセイロンニッケイ(Cinnamomum verum)があり,セイロン桂皮やシナモンと呼ばれ,香味ともに最高品とされる.インドネシアに自生し,スマトラとジャワで広く栽培されているCinnamomum burmanniはジャワ桂皮と呼ばれ,樹皮の外皮を除いたものをシナモンと呼ぶ.日本で古くから使われているクスノキ(Cinnamomum camphora)は樟脳として防虫剤や医薬品などに,他にセルロイドや無煙火薬などの原料にもなっている.また,材は堅く腐りにくく,加工もしやすいことから家具,仏壇,戸棚,箱類,彫刻,木魚,小形和船,丸木舟,水車などに用いられており,古く縄文時代の遺跡から丸木舟に使われていたことが分かっている.ニッケイ(Cinnamomum sieboldii)の根皮を肉桂といい,荒皮,中巻,小巻,チリチリなどと呼ばれ,桂皮の代用とされる.