menu

明日ゲンキになるマメ知識明日、ゲンキになるためのマメ知識

アスゲンのお薬に使用されている成分の原料や
それぞれの効能などをわかりやすくご紹介しているページです。
健康に関する最新情報もあわせて随時更新してまいりますので、
毎日の豊かな暮らしづくりにぜひご参考ください。

牛黄は炎症を抑えるのか?

牛黄に含まれる主な成分として胆汁酸とビリルビンが知られています。大まかに言うと、胆汁酸はコレステロールから肝臓を通して作られます。また、ビリルビンは寿命を迎えた赤血球から肝臓を通して作られます。その後両者は胆汁として胆のうに蓄えられ、食事で脂っこいものを食べた時にその消化吸収のため、小腸へ分泌されます。

今回の主人公「牛黄」は牛の胆のうの中にできる結石であり、1000頭に1頭程度しか見つからないものとして古くからその希少性と薬効が珍重されてきました。

さて、胆汁酸は脂質の消化吸収を促進するだけでなく、体の中において脂質、糖質、エネルギー代謝に関する情報をやり取りし、関与する物質として知られていました。近年、胆汁酸を介した全身の代謝調節に腸内細菌が密接にかかわっていることも分かってきました。

牛黄には様々な作用があることが知られ、近年では炎症や免疫に関する報告も見られるようになってきました。今回、胆汁酸とビリルビンに関する報告をご紹介したいと思います。

 

1)胆汁酸が、炎症を促進する腫瘍壊死因子(TNF)の産生を最も効果的に抑えた。

Bile acids inhibit endotoxiin-induced release of release of tumor necrosis factor by monocytes: An in Vitro study 

HEPATOLOGY, Vol 10,Issue 4, October 1989 P 454-458

 炎症が起きた時に一番最初に現れ、炎症を促進する物質がTNFです。これを抑えることができるのは素晴らしいです。牛黄にはいろいろな胆汁酸が含まれているため、体内で起こる様々な炎症に対して有効かもしれませんね。

2)関節リウマチの発生に対するビリルビンの免疫調整効果を観察したところ、異常増殖した血球を減らしたり、過剰反応した免疫機能を抑える様子が見られた。

Hyperbilirubinemia Decreases Physiological Markers in AdjuvantInduced Arthritis Physiol. Res. 64 (Suppl. 4): S459-S466, 2015

 炎症発生時には体内の免疫機構は、炎症を抑えるために全力を挙げて働きます。しかし、炎症が収まりつつあるのにまだ全力を出している(異常増殖)免疫関連細胞は困りものです。これらを抑えることができるとの興味深い報告です。

これは想像ですが、胆汁酸が体内で様々な作用を及ぼすことにより健康が保たれていると考えると、生活習慣の悪化などにより胆汁酸を取り巻く環境に変化が生じると体に不調が生じるのではないでしょうか。それは胆汁酸分泌量の変化、胆汁酸が関与する生理活性の低下、胆汁酸が関与する腸内細菌の種類の変化などが考えられます。そこに胆汁酸を含む牛黄を服用することで、人体の胆汁酸組成に変化が生まれ、それによってさまざまな生理活性が円滑になることにより健康につながっていくのではないのでしょうか。余談ですが、胆汁酸は腸内で代謝を受ける事から、その効果を発揮させるために腸内環境を整えておくことも大切かもしれません。

  生薬に関する研究はまだまだ未知の部分が多いことから、今後の牛黄に関する報告が待たれます。

TOPに戻る