最後まで読むとやせるかも?
肌寒い日と暑い日を繰り返しながら夏を迎えつつあります。
夏は薄着になることが多いため、身体のラインを気にされる方もいらっしゃるでしょう。
「お腹周りが気になる」、「二の腕がたるんで・・・」また「脚を少し細く・・・」
そんな声が周りから聞こえてくることがあり、
最後は「痩せたい!」という結論に至ることが多いと感じています。
話を聞いてみると、みなさんの「痩せる」とは「体重が減る」ことを指しています。
体重計の数字を減らすことはとても簡単で、
サウナなどで汗をかけば短時間で1~2kgは減らすことができます。
ただ、これは水を飲めば元に戻りますから皆さんの目指すところではないでしょう。
さらに話を聞いてみると、みなさんが目指しているところは
いわゆる「脂肪だけを減らす」ことであることが分かってきます。
しかし、人間の日常生活で使用されるエネルギーは、直前に食べたもの、
筋肉に蓄えられているグリコーゲン、そして脂肪から構成されているため、
脂肪だけをエネルギーとして使うことはかなり難しいと思います。
かつ、脂肪は進化の過程で「生き残るために最後まで使わないエネルギー」
としての歴史がありますので、中々減らすことはできません。
ただ、脂肪が使われる割合を増やすことは可能です。
ここであるデータを比較してみましょう。
次の2つは筆者がランニングした時のデータです。
Fig.1が約5時間、Fig.2が約1時間のものです。
<Fig.1 長時間(5時間)のランニング>
<Fig.2 短時間(1時間)のランニング>
はじめに見ていただきたいのは、右隅の赤枠で囲んだ
"Fat percentage of calories"(消費カロリーに占める脂肪の割合)です。
それぞれ45%と17%であることが分かります。
つまり、長時間の運動は短時間のそれより脂肪が燃える割合が高くなります。
注意点は、脂肪が燃え始めるときまで、その運動を続ける事です。
一般的には20分は必要とされます。
これは脂肪が「油」であり、体温で溶けて血液中に流れエネルギーとして
使われ始めるまでの時間と考えられます。
次に「どのくらいの負荷が身体にかかっているのか?」です。
これは最上段の青枠で囲んだ数値を見てください。
これは1分間あたりの平均心臓拍動数(以下、心拍数)です。
Fig.1において、筆者は平均130拍辺りの運動強度を保った長時間の運動の場合、
必要なエネルギーの半分を脂肪で賄っていることが分かります。
しかしFig.2のように、短時間の平均147拍と運動強度が高めの場合は、
脂肪はあまりエネルギーとしては使われていないことが分かります。
この結果から、心拍数を脂肪の燃える範囲に収め、
所定の時間運動すれば、ほぼ脂肪だけを燃やすことが可能と考えられます。
最後に運動強度を決めるために必要な心拍数の計算方法を紹介します。
<計算方法>
220 - 年齢 = 最大心拍数(正確には個人差あり)
ここでは30歳の方を例に考えてみます。
30歳の方場合、220-30=190拍 が最大心拍数です。
190拍を100%として、エネルギーの大部分に脂肪が使われる範囲を求めます。
これについては研究報告されているのでそれを利用します。
<Fig.3 運動強度 (心拍数) の主なエネルギー源>
Fig.3によると、脂肪が多く燃えるのは心拍数が空色の範囲114~132拍になります。
これをモニターするものとして各種活動量計が販売されているので
それを利用するのもよいでしょう。
手軽に取り組みたい方は運動直後に首筋や手首に指をあてて10秒間の心拍数を数え、
それを6倍して求めてもよいでしょう。
続けていくうちに「この運動の時はこのくらいの心拍数」というのが分かってきます。
また、運動をしながら会話をするには少し呼吸が辛いかな、という感覚に基づく簡単な方法もあります。
気になるのは痩せるまでにどのくらい時間がかかるかでしょう。
空色の運動強度60~69%でエネルギー源を100%脂肪のみと仮定して、
1kgの脂肪を消費するためにどのくらいの時間がかかるかを計算してみます(概算)。
体重60 kg 体脂肪20% → 体重 59 kg 体脂肪18%
を目指すとすると減らす脂肪は1kgです。脂肪1kgは9kcalですから
1000g× 9kcal = 9000kcal
筆者の場合1時間の 空色運動で500kcalを消費することから
9000kcal ÷ 500kcal/日 = 18日間
途中に休息日を設けるとすると、1か月で脂肪1kg程度の減量が現実的かと思います。