水分、摂ってますか? 水を制する者は夏を制する!
●本格的な夏がやってきました!
アイスクリームやジュースが恋しい季節です(嬉)
おいしく感じるように理由は何でしょう。それは気温が上昇することで、体温も上がりやすくなり、それを一定に保つには体を冷やさなければならないことを本能的に知っているからでしょう。
暑い夏を快適に過ごす時に気を付けないといけないのは「脱水症状」、そしてそこから生じる「脱水症」です。
脱水症状は、体内の水分が減少している状態を指します。人間(成人)の体重の約60%を水分が占めています。通常であれば、喉の渇きを感じたら水を飲みますし、腎臓が体内の水分量をコントロールするなどの調節機能が働いて、重大な脱水症状は起こりません。しかし、高齢者や子供など喉の渇きを感じにくいあるいは訴えられない人や、喉が乾いても自力で水を飲めない人などは脱水症状から脱水症となる可能性があります。健康な人でも、かぜなどの感染症に罹った場合やスポーツ時などでは脱水症になることもあります。
●暑くなるにつれてどのように水分摂取量が増えていくのでしょうか?
今回は初夏から真夏である5月~8月にかけて行った自転車トレーニング(各月1回、計4回)の結果から脱水症状についてみていきたいと思います。
運動時間は6時間~6時間30分(平均6時間18分)、循環器負荷値※ は398~454(平均:423)です。 運動時間と循環器負荷(※1)が概ね同程度となるデータをピックアップし、夏が進むにつれ平均気温の上昇とともに、水分摂取量がどのように変化していくかを見ていきます(赤枠)。体重の減少は運動日時にかかわらず、2kg程度ですが(私の夏の体重は約58kgですので、体重の3%強の水分喪失です。)、注目すべきは気温の上昇(30℃が境界線?)とともに水分摂取量が急上昇していることです。わかりやすくするために、平均気温上昇に伴う水分摂取量の変化をグラフ化してみます。
●7月以降の水分摂取量の増え方が・・・とんでもないことに(驚)!
グラフ化してみたところ、気温の上昇に伴い、6月の水分摂取量は5月の約1.8倍(気温上昇3℃)、そして7月のそれは6月の約2.1倍(気温上昇4℃)、8月は7月の約1.2倍(気温上昇2℃)と増えていました。5月から8月の温度上昇は9℃、それに伴う水分摂取量は4.3倍になっていました。驚きです!
つまり、5月と同じ強度の運動を8月に行おうとすると水分摂取量は約4倍必要であることが分かりました!
ちなみに8月の水分摂取についてはあらかじめ水分補給(500mLペットボトル入り飲料を1時間ごと)する地点を決めて、その水分を自転車に乗りながら補給し、次の補給地点を目指す、というものでした。つまりのどの渇きに関係なく摂取し、次の地点までには飲み切るようにしていました。正直なところ、1回くらいは水分を摂らなくてもいいんだけどな、と感じていました。しかし、それでも2kg減ってしまい、場合によっては後に述べる体調不良が生じる恐れがあります。
●夏は水分摂取を意識していても脱水症になることがあります
先に、"私の夏の体重は約58kgですので、体重の3%強の水分喪失です。" との話をしました。
上図は体内の水分がどのくらい失われると危険なのかを簡略化して示したものです(※2)。「あ、まだ3%だから大丈夫だね」と思ったあなた!それは危険です。私の経験では3%であっても自覚症状として「気持ち悪い」、「体温が下がらない」、「激しい倦怠感と強い眠気」が襲ってきます。5%や10%などと言ったらいったいどうなってしまうのか? ちなみに水分減少が10%を超え20%に至ると生命の危機に陥るとされます。
例え軽い脱水症状であっても、その影響は当日だけにととどまらず、翌日のパフォーマンスに大きく響きます。「渇く前に飲む」ことはスポーツをするときだけでなく、日常生活においてもとても大切なことなのです。