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明日ゲンキになるマメ知識明日、ゲンキになるためのマメ知識

アスゲンのお薬に使用されている成分の原料や
それぞれの効能などをわかりやすくご紹介しているページです。
健康に関する最新情報もあわせて随時更新してまいりますので、
毎日の豊かな暮らしづくりにぜひご参考ください。

あなたの知らない「マオウ(麻黄 Ephedra Herb)」の世界・・・

寒い日が続きますが、節分が近づき暦の上では春がやってきます。最近は豆まきよりも恵方巻を楽しむ方が多いですね。今年の恵方は西南西です。

さて、年始にインフルエンザに感染し、やっと回復した私は、豆まきで無病息災を祈り、恵方巻を食べて福を招きたいと思っています。インフルエンザは治療薬のおかげで熱に苦しむ期間は短くなりましたが、回復後に残るせきに悩む方が多いです。私も熱が下がった後、2週間ほどせきが残り大変でした。

マオウ = せき止め ?

せき止め薬といえば、弊社アスゲン製薬は生薬マオウを主成分とした製品を長年皆様に提供しております。今回は、せき止め成分として知られるマオウの「今」についてお話しします。

マオウは、2000~2025年に発表された研究報告の数から見ると、良く知られているとされる5つの生薬よりも多くの報告があります。

マオウ = アルカロイド + 非アルカロイド

マオウの成分は大きく「アルカロイド系成分」と「非アルカロイド系成分」に分かれます。アルカロイド系成分には、せき止め作用や気管支拡張作用を示すエフェドリン類が含まれます。一方、非アルカロイド系成分には、フラボノイド、タンニン、多糖類などがあります(参考1)。古来から、マオウはせき止めの作用の他、その血圧上昇、発汗、利尿、抗炎症、抗菌作用を期待して様々な漢方処方に用いられてきました。近代に入ってからは、マオウと言えばエフェドリン」と言われるほど、アルカロイド成分について知られていますが、近年、非アルカロイド成分にも注目が集まっています。ではどんな成果が出ているのでしょうか? 

マオウの二面性(排尿障害と利尿作用)

マオウは「畜尿作用(膀胱の排尿筋を緩め尿を貯める作用。尿が出にくくなる「排尿障害」を起こす)」と「利尿作用(腎臓の血管を拡張し尿の産生を促す作用)」という相反する作用を有します。

研究者にとって、この不思議な作用がきっかけだったのか、マオウと腎臓に関する多くの研究が報告されています。

腎疾患患者数は増加傾向にある

近年、腎臓の重要性が再認識されています。これは腎臓は単なる尿を作る臓器ではなく、ホルモンを生成し、他の臓器と情報交換を行う中心的な臓器とであることが分かってきたからです。しかし、日本の腎疾患患者は増加傾向にあります。厚生労働省の「患者調査」(2023年)によれば、慢性腎臓病(CKD)の患者数は66.6万人で、2020年の62.9万人から約3.7万人増加しました(参考2)。世界的にも同様の傾向が見られ、2017年のCKD患者数は全人口の約9%に達し、1990年から29%増加しました(参考3)。

マオウに含まれる非アルカロイド成分の腎臓への効果(研究報告の紹介)

このような状況を踏まえてなのか、マオウの腎臓への効果についてさまざまな研究が進んでいます(下表 参考4)。

マオウについて今まで知られていなかったことが次々に明らかになってきています。これらの研究が腎臓に限らず、さまざまな疾患における新薬の開発や治療法に応用され、病気に苦しむ人が一人でも減ることを願っています。

参 考

(1)Ephedrae Herba: A Review of Its Phytochemistry, Pharmacology, Clinical Application, and Alkaloid Toxicity /Molecules 2023, 28, 663

(2)https://seikatsusyukanbyo.com/statistics/2025/010842.php

(3)Global, regional, and national burden of chronic kidney disease, 1990-2017: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2017. /Lancet (London, England). 2020 Feb 29;395(10225);709-733.

(4)Potential Molecular Mechanisms of Ephedra Herb in theTreatment of Nephrotic Syndrome Based on NetworkPharmacology and Molecular Docking /Hindawi BioMed Research International Vol. 2022

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