SDGs「100年後の夏、我々は耐えられるのか?」
SDGs 目標 No.13:気候変動に具体的な対策を
3月になり暦の上では春ですが、先日アスゲン製薬のある岐阜県瑞浪市は雪に覆われました。とはいえ、これから少しづつ暖かくなっていきます。
しかし今回お話しする「温かくなる」はあまりうれしくないかもしれません。
人間活動による二酸化炭素の排出により、地球の平均気温が年々上昇していることはよく知られています。SDGsにおいてもNo.13「気候変動に具体的な対策を」をはじめ、目標の多くは温暖化防止対策を考えさせるものとなっています。
そこでアスゲン製薬のある東濃地方の気温が今後どうなるのかについて考えてみます。
調査する地点は中津川市、差を明確にするため、対象として名古屋市を選択しました。
2つの地点において1980~2020年(5年後ごと)の一番寒いとされる2月と、一番暑いとされる8月の気温を比較しました(参考1)。
以下の問いを立て、考えていこうと思います。
Q1:1980~2020年の40年間、気温は上昇傾向にあるのか?
Q2:都市の方が気温は上昇傾向にあるのか?
Q3:今から100年後の2125年の気温はどうなるのか?
まずは名古屋市、中津川市の1980~2020年の気温変動をご覧ください。
Q1:1980~2020年の40年間、気温は上昇傾向にあるのか?
気温変動の折れ線グラフについて、気温が上昇しているのか下降しているのか、その傾向をみるために近似曲線(点線)を引いてみました。xに西暦を入力すると、その西暦の気温(y)が算出されます。
どの近似曲線の傾きもプラスの値であったことから、わずかずつではありますが過去40年間の気温は上昇傾向にあることが分かります。
Q2:都市の方が気温は上昇傾向にあるのか?
近井曲線の傾きが大きいほど、気温の上昇傾向が大きい、と考えられます。
1980~2020年の気温変動のグラフの近似曲線の傾きの大きさから、名古屋市の方が中津川市より温暖化のスピードが速いと考えられます。
Q3:100年後の2125年の気温はどうなるのか?
100年後の2125年2月の平均気温は名古屋市(2020年:7.1℃→2125年:10.9℃ /3.8℃上昇)、中津川市(2020年:3.2℃→2125年:5.0℃ /1.8℃上昇)共に上昇、また2125年8月は名古屋市(2020年:30.3℃→2125年:37.5℃ /7.2℃上昇)、中津川市(2020年:27.3℃→2125年:32.5℃ /5.2℃上昇)共に上昇すると予測されます(上表の水色および黄色塗りつぶし部分を比較)。※記事執筆当時、2025年の2月、8月のデータが発表されていないことから、2020年のデータと比較した。
ちなみに産業革命時代(1850年から1900年)から2025年1月現在までの間に、地球の平均気温は約1.75度℃上昇している(参考2)とされていますが、ご存じのように近年の気候変化は、私たちが体感できるほどになっています。約200年かかっての2℃弱の上昇でこれほど大きな変化が起こるのだとしたら、迎える未来には恐怖を感じます。
なお、2020年8月における名古屋市の最高気温は38.2℃、中津川市は37.7℃であったことから(参考1)、2125年の8月の予想最高気温は単純に考えて名古屋市は37.5+(38.2-30.3)=45.4℃、中津川市は32.5+(37.7-27.3)=42.9℃になると思われます。
ではこの気温上昇はどのくらいのスピードで進んでいくのでしょうか?
2020年8月における名古屋市の平均気温が30.3℃です。前述の近似曲線の式から、中津川市の8月の平均気温が名古屋市と同じになるのは、その60年後の2080年頃と予想されます(上表の赤枠部分)。
以上から気温上昇にかかる期間が60年であること、そして両市役所の直線距離は約60kmであることから、東濃地方の温暖化は概ね、1年で1kmづつ北東に進んでいくと推測されます。
報道される気候変動のニュースがどこか遠い場所での出来事に感じていた私ですが、身近な土地にそれを置き換えてみると、実は大変なことが起きていることがよくわかりました。人間活動による地球温暖化を食い止めるための法制度や技術革新は日進月歩で進んでいますが、これらを生かすためにも、皆さんの心の中に「このままでは100年後、大変なことになっているかもしれない」という意識を持つことも大切だと思います。
【参 考】
(1)国土交通省 気象庁ホームページ:気象庁|過去の気象データ検索
(2)Copernicus Climate Change Serves : Copernicus: January 2025 was the warmest on record globally, despite an emerging La Niña | Copernicus
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