SDGs「フードロスについて考える」
SDGs 目標 No.2:飢餓をゼロに
7月とは言えば夏真っ只中!とはいえ梅雨明けはもう少し先になりそうです。
でも梅雨が明けたら、キャンプ場でバーベキューをしようと思っている方もいるでしょう。
でも、食べきれなかったり、残ってしまった食材はどうしていますか?
今日はフードロス(Food Loss:まだ食べられるのに廃棄される食品)について考えてみましょう。
日本のフードロス
日本では、フードロス(まだ食べられるのに廃棄される食品)が深刻な社会課題となっています。 最新の環境省(*1)の推計によると、日本では2022年度に約472万トンの食品ロスが発生しており、家庭と事業者でそれぞれ約236万トンと同程度です。国民一人あたり年間45kg、つまり毎日お茶碗1杯分の食べ物が捨てられている計算です。
主な原因は、家庭では賞味期限切れや過剰購入、企業では売れ残りや規格外品など。食品ロスは経済的損失に加え、温室効果ガスの排出など環境への影響も深刻です。自給率が低い日本では、輸入食品を無駄にするという矛盾もあります。政府は2030年までにロス半減を目指し、フードバンクやドギーバッグ(お持ち帰り容器)の推奨などの対策を進めています。
フードロスはいつごろから問題になっているのか?
日本では1990年代後半から環境問題として食品廃棄が注目され始め、2010年代には「もったいない精神」やSDGsの影響で経済・社会課題としての認識が広がりました。2019年には「食品ロス削減推進法」が施行され、10月30日が「食品ロス削減の日」に制定されるなど、国を挙げた対策が進んでいます。つまり、フードロスはここ20〜30年の間に、環境問題から始まり、社会全体の課題として徐々に認識が深まってきたのです。
各国の肥満率とフードロスの割合に関係はあるのか?
近年、世界の保健機関が解決に向けて取り組んでいるもののひとつに肥満があります。フードロスが単純に食べ切れないほどの食品を購入し、食べて、食べ切れなかった分を捨てた結果であれば、その結果生じるかもしれない肥満との関係を考えてみるのも良いかと思います。2021年における各国(日本、アメリカ、イギリスおよび中国)のフードロスと肥満の関係を見てみましょう。
最初は各国の年間フードロス(トン)。中国がダントツです。
では1人当たりではどうか?アメリカとイギリスにくらべ、日本と中国はその1/3~1/2の量です。
次に肥満率ですが、傾向として、1人当たりのフードロスが多い国は肥満率も高いような気がします。
※肥満率はWHOなどの統計を基にした成人(BMI30以上)の割合です。
フードロスと肥満には明確な因果関係はないものの、両者は「食の不均衡」によって同時に発生しやすい傾向があります。高所得国では過剰消費と食品廃棄が、低・中所得国では流通インフラの未整備によるロスと肥満・栄養不足が問題です。どちらにしても食のあり方の見直しが共通の課題となっています。
これらをもとにして日本の特徴を考えてみると・・・
●フードロス量は大きい方ではないが、食料自給率が低いため、ロスの影響が大きくなるのではないか?
●肥満率は他の国に比べて最も低く、これは食文化や生活習慣の違いが影響していると考えられる
●一方で、「見た目重視」や「賞味期限への過敏な反応」が、食品廃棄を増やす一因になっているのでは?
日本のフードロスをゼロにできたら、日本の自給率は今の38%からどのくらい上がるのか?
昨今のお米の価格上昇から、皆さんは日本の食料自給率について考えたのではないでしょうか。日本の食料自給率(カロリーベース)は現在約38%ですが、これは「国内で生産された食料が、国民の摂取カロリーのうちどれだけを賄っているか」を示す指標です。従って日本のフードロスをゼロにしても、食料自給率の上昇は限定的と考えられます。さらに約6割が輸入食品由来のため、フードロスゼロが自給率には反映されにくく、国産食品ロスの削減で最大40〜42%程度までの上昇が見込まれるにとどまるのでは、と考えられます。とはいえ、フードロスの削減は、環境負荷の軽減、食料の安全、倫理的消費の推進などさまざまな面で重要な意味を持ちます(*3)。まずは目の前の食べ物について興味を持ち、料理を作って食べてみることからはじめてみてはいかがでしょうか。
<参考>
*1 環境省HP:我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和4年度)の公表について | 報道発表資料 | 環境省
*2 UNEP Food Waste Index Report 2021
*3 農林水産省:食品ロスの現状を知る:農林水産省
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